投稿日:2025-07-29
ここ1〜2年、「ハイエースの納期がかかるので繋ぎでレンタカーを借りたい」「中古車が高すぎるのでとりあえずレンタカーを借りたい」といったお問合せをいただくことが顕著に増えました。
当社でも例に漏れず、【新車が発注できない】【納期が非常に長い】といった問題が常態化しています。
そもそも、当社ではハイエースを年間20〜30台仕入していましたが、雲行きが怪しくなってきたのはコロナ禍・半導体不足あたりでした。
始まりは、他メーカーも含めて半導体不足により新車の納期が大幅に遅延し始めたのが始まりだったと記憶しています。
それまでも、半年〜1年と納期がかかる車種も存在していましたが、それらは所謂「高級車や人気車種」といった嗜好度が高い車種でした。
盗難や転売といった問題も大きい車種で、大衆車や仕事で使う車種は2〜3ヶ月、長くても半年といった納期が一般的でした。
ハイエースも同じく当時は2〜3ヶ月程度の納期で安定していました。
以降、ことあるごとに納期が遅れるようになります。
納期遅れの理由
(1)「法規対応」
各種安全装置の取り付けが義務化されていきました。
【オートライト】【バックカメラまたはコーナーセンサー】【追突防止装置】などがあり、その対策を講じるため注文が停止されることとなりました。
(2)「認証試験の不正トラブル」
認証試験で不正が発覚し、生産が一時停止されました。
その中の車種にハイエースもあり、納期が遅れることとなりました。
(3)「受注の集中化」
『ハイエースの生産遅れるor受注停止⇒キャラバンに受注が集中する⇒キャラバンの生産遅れるor受注停止⇒ハイエース生産再開⇒ハイエースに受注が集中する』
上記の様な状態が続くことにより、生産停止と納期遅れが常態化しています。
そんなこんながあって、年間で安定して注文していた我々にも注文数の制限が生じるようになり、また条件も厳しくなってしまいました。
生産が再開されたと案内をもらうものの、他社も含めて受注が多すぎるため、注文できる台数に限りがあるとアナウンスが入ります。
提示された条件は【燃料の種類は選べない(ガソリン車、ディーゼル車)】【車体色は選べない】【合計〇台まで】でした。
もちろん希望していた台数には程遠く、しかも車体色だけでなく燃料まで選べないとなると商品ラインナップ上も非常に厳しいものです。
結局、元々のラインナップにあるガソリン車で可能な台数のみ注文しましたが、車体色は揃えていたシルバーではなくホワイトのみとなってしまいました。
こんな状態が続いているため、もちろん中古車市場も高騰してしまい、買いたくても買えないというユーザーも益々増えているという悪循環が続いています。
【これだけ需要・人気がある車種なのだから増産すればいいじゃないか!】と思う方も多いのではないでしょうか。
私もそう思う内の一人ではありますが、自動車メーカーは日本市場のみでなくグローバル戦略、特に北米・中国市場を意識して生産しているはずなので、致し方ない面もありそうです。
北米戦略で大きく躓いた日産が、経営に大打撃を受けてしまったことも大きな話題となっているように、グローバル戦略で北米・中国の2大消費地を意識しないメーカーはないでしょう。
よって、今後は2つの地域(北米、中国)で売れる(利益を稼げる)車が中心として生産される車種となっていくと予想されます。
ここで、問題となるのが北米でのトラック需要です。現行のハイエースは200系と呼ばれており、2004年から発売され既に20年以上にわたり活躍してきました。
運転席の下にエンジンを積んでおり、日本の狭い道でも走れるギリギリのサイズ、かつ荷室を最大限に確保した車両となっており、正に日本の物流・職人を支えた車と言えるでしょう。
ところが、北米のトラックではボンネットが突き出たボンネット型タイプが主流であり、安全性や整備のし易さ・運転席への振動など様々な観点から200系のハイエースは新車販売されていません。
広大な土地、道路幅から車体の全長や幅を大きくできる北米の商用車事情が見えてきます。
ボンネットが突き出ることによる問題点は荷室の広さを狭くするか、車体を大きくするかになってしまうこと。
もちろん現行モデル(200系)と同等の積載量を確保しようとすれば、より車体は大きくなってしまい、ナンバープレートや車庫・道路事情に影響が出てしまいます。
実際に2019年にフィリピンで発表された次期モデルのハイエースはセミボンネット型として、より大型の車両が発表されています。(発売時期は未定?)
※日本でもハイエースより大型車両のグランエース(最大8人乗りの乗用車)が発売されましたが、2024年で終売されました。
いずれにしても、今までどおりの車の注文・使い方は通用しなくなるかもしれません。
車種構成についてはハイエースに限った話ではなく、そのほかの車種にも・・・。
特に法人向けの車種については装備品なども少なく利益が出しにくいせいか、どんどん生産が縮小しています。
直近で一番衝撃的だったのが、ADが2025年の秋で生産が完全に終了となること。
当社で一番保有が多い車種であり、主力でもありました。もうプロボックスに移行するしかありません。
また、ほぼ同時期にカローラフィールダー、カローラアクシオも生産が終了されるとアナウンスがありました。
長年、営業車として活躍していた車種が軒並み生産終了していきます。
将来的にはプロボックスも終了するかもしれません。
SUVで営業回りする、そんな未来が訪れるかもしれません。
メーカーも開発競争を勝ち残るために、利益が出しやすく売れる車種を中心に開発することは、仕方ない事なのかもしれません。
作り手が変わろうとしている今、使い手も変わっていかなければいけないのかもしれません。
担当:谷津田